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症状は、梗塞の部位で違います

梗塞が脳のどこに起こったかで症状が異なる

人間の脳は、大脳、小脳、脳幹という3つの部分から構成されています。

そして、大脳と小脳は大脳半球、小脳半球という左右一対の構造になっています。

大脳は、表面の大脳皮質、その中にある白質、さらに深部にある基底核によって構成されています。

大脳皮質は神経細胞の集まりで、白質は神経細胞から延びた神経線維のネットワークの集合です。

基底核は神経のネットワークの中継地点で、大脳と小脳、脳幹との連絡をとる場所です。

大脳皮質は、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に分かれており、それぞれに役割分担があります。

手足の運動、触覚などの感覚、物を見て認識する、言葉を聞いて理解する、言葉を話すといった働きをそれぞれが担っていますが、梗塞によって各部位がダメージを受けると、その機能が障害されて、さまざまな症状が現れるのです。

また、脳梗塞では体の左右どちらかに麻痺が現れますが、これは左図のように脳幹部で運動神経が左右に交差しているため、梗塞が起こった部位とは反対側に症状が出るのが特徴です。

多いのは、体の左右どちらかに現れる麻痺やしびれ

脳梗塞の症状で最も多いのは、片麻痩です。体の左右どちらかに、運動麻痺が起こります。

また、顔面の左右どちらかにも麻痺を伴うことがあります。

麻痺の程度は、まったく動かせなくなる重症の完全麻疹から、手足の先の細かい動きがしにくいという程度の軽症のものまでさまざまです。

一般に、片麻庫はリハビリテーションを行うと体に近い部分から改善していきますが、手足の先の麻痺は残りやすいという特徴があります。

また、発症後6か月以上経過すると、それ以上の回復は望みにくくなります。

脳梗塞による運動麻痺は、末梢神経が切れたために起こIる麻痺とは別物です。

痙性麻痺といって、筋肉が硬くなる症状を伴います。

例えば、動かそうと思っていないのに筋肉が収縮して勝手に動いたり、いつの間にか手の指が曲がったまま固くこぶしを握ってしまいます。

指を。本ずつ伸ばして、手を開くには非常に強い力がいります。

靴の中で足の指が曲がったまま、靴底にくい込んだりすることもあります。

また、ある部分を動かすと、ほかの部分が突っ張ったりするという特徴があります。

理学療法や作業療法などのリハビリ以外に、筋肉をやわらかくする筋地緩薬を用いると有効です。

麻痺と同じ側に感覚障害が出る

片麻疹と同じく、よく見られるのが感覚障害です。

これも体の左右どちらかだけに現れます。

感覚神経も運動神経と同じく左右が交差しているため、梗寒の発生部位とは反対側に出ます、また、多くの例では感覚障害は片麻痺と同じ側に現れます。

麻片側の半身では触っている感覚がわからなかったり、鈍くしか感じられなくなります。

しびれと痛みは治りにくい 後遺症の1つ

体の片側や一部に、しびれや痛みが出ることもあります。

しびれや痛みも感覚障害の一種ですが、運動麻痺とは現れ方が少し違います。

脳梗塞の発症後、一定の期間を経過してから強く現れる傾向があります。

さらに、患者さんの体調や、季節によって症状が変動する場合もあります。

しびれや痛みが続くと患者さんの苫痛が大きく、イライラしたり、気分が落ち込んだりしやすく、頭を悩ませる後遺症といえるでしょう。

しかも、しびれや痛みはなかなか治りにくい後遺症で、治療法も有効なものがないのです。

治療には、けいれんやてんかんの薬のカルバマゼピンやフェニトイン、ヒスタミン薬など、いくつかの薬が用いられており、なかには多少効果が見られる場合もあります。

言語障害には大きく2つの種類がある

言語障害は、失語症と構音障害に大きく分けられます。

失語症

失語症は、大脳の言語中枢が障害を受けることによって起こるもので、通常は左脳に梗塞が発症したときに起こる症状です。

話すだけでなく、言葉の理解、読む、聞くといった言語全般に関する障害が現れます。

失語症には、運動失語と感覚性失語があります。

運動失語は、大脳の前頭葉にあるブローカ領域という部分が障害されて起こることから、ブローカ失語ともいいます。

相手の話している言葉を理解できますが、自分が話したいことをうまく言葉にすることができません。主に発語がむずかしくなるのが特徴です。

一方、感覚性失語は、ウェルニッヶ失語ともいいます。

大脳の側頭葉にあるウェルニッケ領域が障害されて起こるものです。

流ちょうにしゃべることはできますが、相手の話を理解したり、質問に適切な答えができないなど、話す内容が支離滅裂になります。

そのほか、名詞が出てこなくなる「失名詞失語」や、
復唱ができなくなる「伝導失語」、
聞く、話す、読む、古くというすべての言語機能が障害される「全失語」などがあります。

失語症では言葉が失われても知性は保たれているので、その点を理解しておくことが肝心です。

構音障害

構音障害は、話すことに関係する筋肉の運動障害です、大脳や脳幹の障害で起こる弛緩性構音障害と、小脳の障害で起こる失調性構音障害があります。

構音障害は話すことも、言葉を理解することもでき、自分か思ったことを□にすることもできます。

しかし、舌がうまく回らないため、正しい発音ができなくなるというものです。

ろれつが回らないような症状がよく見られます。

目の症状が出ることもある

脳梗塞が発症したときに、目の症状が現れることがあります。

発症後、しばらくすると軽減されることもありますが、そうでない場合は回復することはありません。

物が二重にダブつて見える「複視」は、眼球運動の中枢がある脳幹に障害が起こった場合に現れます。

左右の眼球の動きにずれが生じるため、両目で見たときに、物がダブつて見えるのです。

しかし、片側の目で見たときは正しく見えます。

視野の障害があると、左右どちらの目で見ても、あるいは両目で見ても、右側または左側の視野が欠けて見えます。

この視野障害は片麻痺と同じく、梗塞を起こした側とは反対側の目に起こります。

このような症状を半盲といいますが、視野の4分の1だけが欠ける場合もあり、これを4分の1盲といいます。

物や空間の左側を認識しにくくなることも

劣位半球症候群によって視空間失認が起こることがあります。

劣位半球症候群とは、劣位大脳半球(一部の左利きの人を除いて右大脳牛球)の頭頂葉加障害を受けることによって現れる症状です。

右脳に梗塞が起こった場合は、左半側空間失認が起こります。

左牛側空間失認は、目で見た物の左側に気づかない、あるいは無視してしまうというもので、見えていないわけではありません。

しかし、左側に意識が向かないのです。

そのため、日常生活でもさまざまな支障を来します。

たとえば、相手の左半身が認識できなかったり、テレビを見ても左半分が認識できなかったりします。

食事をするとき、テーブルの左側にあるおかずに気づかずに食べなかったり、歩くときや車椅子で移動するときに左側にある障害物に気づかないので、ぶつかったりします。

食事や排泄に関わる 症状もよくある

脳梗塞の症状でよくあるのが、嚥下障害と排泄障害です。

食事や排泄に関わるので、退院後の家庭での生活で、家族や介助する人が注意を要する後遺症といえるでしょう。

嚥下障害

脳梗塞が左右両側の大脳に起こり、延髄にある嚥下中枢と連絡している経路が障害される仮性球麻痺が原囚で起こる症状です。

飲食物をうまく飲み込むことができなくなったり、誤って気管に飲食物が入ってしまい、むせたりします。

つばをうまく飲み込めないので、口の中にたまってよだれが出やすくなったりもします。

いちばん問題となるのが、誤嚥性肺炎を起こしやすくなることです。

誤嚥性肺炎は、高齢の脳卒中患者の死亡原囚の第1位を占めます。

入院中から嚥下障害を改善する訓練や治療が行われますが、完全によくなることはないので、家庭でのケアが大切です。

なお、高度の嚥下障害があるときは、口から食事を摂るのが困難なので、鼻から管を入れたり、胃に孔(胃瘻)を開けて管を通して栄養補給をする方法がとられます。

頻尿と尿失禁

脳梗塞の後遺症で多いのは、頻尿になることです。

排尿の問隔が短くなり、すぐに尿意が起こります。

尿失禁は頻尿に伴って起こるもので、トイレに間に合わずに失禁してしまうケースが多いのです。

頻尿は、抗コリン薬で治療できますが、中高年の男性で前立腺肥大がある人は尿が出なくなることがあるので、専門医に相談しながら慎重に用いる必要があります。

後遺症で重度の認知症があると尿意を訴えることができないので、失禁してしまいます。

この場合は定期的にトイレに連れて行くか、高度の場合にはおむつを使用します。

うつ病や夜間せん妄、不眠、認知症が起こることも

脳卒中を起こした患者さんは、うつ病や夜間せん妄、不眠、認知症などの精神症状を起こすことがあります。

脳卒中後のうっ病は、脳卒中後うつ、または血管性うつといわれています。

脳卒中発症からしばらくたって現れます。

治療には、選択的セロトテノ再取込み阻害薬や選択的ノルアドレナリン再取込み阻害薬などの薬が比較的副作用が少ないことから、よく用いられるようになりました。

夜間せん妄とは、夜になると興奮して暴れたり、独り言をいって騒いだりする症状です。

家族は睡眠を妨げられ、介護が非常にたいへんです。

睡眠薬や向精神薬が有効なので、悩まずに医師に相談してください。

不眠は、昼夜逆転が原因のことが多いようです。麻痺などで体が自由に動かないと、昼間に寝たり、運動不足で夜に眠れなくなります。

生活リズムを整え、それでも眠れないなら睡眠薬を使用します。

不眠には、睡眠時無呼吸症候群が関係していることもあります。

脳卒中を起こした人で、睡眠中に無呼吸になったり、大きないびきをかくときは、医師に相談してください。

脳卒中後に起こる認知症は、血管性認知症といいます。

梗塞が多数あって起こるものは、多発梗塞性認知症と呼ばれ、脳の循環をよくする薬や認知症の薬を用いて治療します。

症状は一時的なこともありますが、徐々に進行する場合もあるので、家族や周問の人は注意してください。

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