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脳梗塞の検査と診断

救急処置を行ってから検査を始める

脳梗塞が起こった場合、すぐに脳の血流を再開させることが大事ですが、いきなり治療を始めることはできません。

病院に到着したら、まずは救急処置を行って、それから確定診断に必要な検査をします。

脳梗塞が疑われる患者さんが搬送されてきたら、下表のように救急処置のABCを行います。

この処置を行いながら、バイタルサイン(呼吸と脈拍)や、意識のレベルを確認し、左右の目の瞳孔の大きさ、対光反射(先に対する瞳孔の反応)、手足の麻輝の状態も調べます。

この間に、患者さんの既往歴(病歴)、服用している薬などの情報が必要なので、付き添いの人はすぐ近くて待機しておくようにしましょう。

血圧と脳浮腫への対策が大事

脳梗塞の発作で強いストレスが加わると、血圧が上昇します。

また、呼吸が苦しかったり、代謝が変化したり、頭蓋内圧亢進によっても血圧が変動します。

脳梗塞の場合は、血圧を急激に下げると梗塞部が広がる危険があるため、極端に高くなければ血圧を下げる処置は行いません。

血圧を安定させるために、苦痛を取り除いたり、膀胱にカテーテルを入れる処置などを行います。

もう1つ重要なのが、脳浮腫の治療です。

脳梗塞が起こると、梗塞部や周囲の組織がむくんで脳の容積が大きくなるため、頭蓋内圧が高まります。

内圧で押されて大脳が脳幹に向かって飛び出し(脳ヘルニア)、脳幹が圧迫されると呼吸の維持や循環機能が障害されて生命に関わります。

そこで、浮腫を改善する薬物で治療をします。

血液検査、心電図検査も欠かせない

救急処置を行いながら、血液を採取し、血糖、脂質、肝臓の機能、腎臓の機能などを調べます。

血液ガス(血中の酸素や炭酸ガスの濃度)をチェックし、呼吸状態も確認します。

脳検塞のうち、心原性脳塞栓症は心臓疾患が原因となっているため、心房細動などの不整脈がないか、心電図をとって調べます。

心房細動か発作性の場合はなかなか脈拍の乱れが現れないので、心電図モニターで経過観察を続けます。

そのほかに、血液の固まりやすさを調べるTATやD‐タイマーなどの分子マーカー検査を行ったり、心エコー(心臓の超音波検査)で心臓内に血栓があるかどうかを調べることもあります。

CT、MR-などの画像検査で脳梗塞を見つける

救急処置の後は、緊急で頭部CT検査(コンピュータ断層撮影)を行い、脳梗塞がどうかの判断をします。

CTでは、出血性か、虚血性(脳梗塞)かの鑑別ができます。

虚血とは、血流が不足した状態のことです。

CT検査の画像では、出血性の脳卒中では病巣が白く写ります。

脳内出血であれば脳内に、くも膜下出血であれば頭蓋骨と脳の表面の問に白い部分が見られます。

脳検察のように虚血性のものは、CTの画像では黒く写りますが、それが写るまでには数日かかります。

ただ、心原性脳塞枠症のように大きな梗塞が起こり、著しい虚血が起こっていると、そのサインが画像に見られます。

これを早期虚血兆候といいます。

また、脳浮腫が起こって脳が腫れていると、これを確認できる場合もあります。

しかしながら、緊急のCT検査で脳梗塞そのものの画像を確認することはできないことが多いので、除外診断をしていきます。

つまり、CT検査の結果で出血性の所見ではなく、脳卒中の症状が現れている場合には脳梗塞かTIAが疑われるというわけです。

MRI(磁気共鳴画像)での検査でも発症直後は、脳検塞の画像をとらえることはできませんでした。

しかし、最近登場した(拡散強調画像(DWI)」という方法でMKIを撮影すると、発症直後の脳梗塞でも画像で確認できるようになり、この方法が最近用いられるようになりました。

頸動脈超音波検査で動脈硬化を調べる

脳梗塞にはアテローム血栓性脳梗塞のように頚動脈の動脈硬化が進行して、そこでできた血栓が脳血管に流れてきて詰まるものもあります。

また、頸動脈は脳へと枝分かれして延びているので、頸動脈を調べることによって脳血管の状態を予測することもできるのです。

このことから、脳梗塞の発症時には頚動脈を調べる検査も欠かすことができません。

頸部には太い動脈が4本あり、脳に血液を送っています。

頸動脈超音波(エコー)検査は、頸動脈に超音波をあてて、反射する超音波から血管の状態を調べるものです。

動脈硬化か頸動脈のどの部分に起こっているかや、どれぐらい血管が狭まっているかがわかります。

一般的には、デュプレックス・スキャンといって、頸動脈の状態を画像表示したり、血流速度も調べることができる機器を用います。

さらに、経頭首ドップラー(TCD)という検介は、側頭部に超音波をあてることによって、脳動脈の血流を調べたり、脳内に流人する血栓を調べることができます。

脳の血管を詳しく調べる検査も行われる

CT検査やMRI検査では、脳の梗塞部を発見することはできますが、どこの血管が詰まっているのかを特定することはできません。

また、血管がどんな状態になっているのかを知ることもできません。

そこで必要になるのが、血管を詳しく調べる快査です。

その方法には、MRA(磁気共喩血管撮影)検査や脳血管造影(カテーテル造影)、ヘリカルCT(CTA)があります。

MRA(磁気共鳴血管撮影)検査

MRI検査で撮影した画像をコンピュータ処理することによって、脳の血管だけを鮮明な画像にするものです。

以前は、細かい血管がわかりにくいという欠点がありましたが、現在ではかなり改良されています。

これによって、脳梗塞の原因となっている血管の位置や状態を把握することができます。

脳血管造影(カテーテル造影)

局所麻酔をして、太もものつけ根にある大腿動脈からカテーテル(管)を挿入して造影剤を注入し、エックス線撮影をします。

造影剤を使用することで血管内腔(血液の通り道)の状態がわかり、細かい部分まで調べることができるという長所があるのですが、患者さんの負担が大きい検査なので、これを行う場合には患者さん、または家族の同意が必要です。

ヘリカルCT(CTA)

高速らせんCTによって、血管の立体構造を三次元化(3D‐CT)して示すことができます。

造影剤を点滴して、血管遺影のように血管内腔を調べることが可能です。

確定診断としては、MRA以上の精度があります。

PWIで脳の血流の低下部位を見つける

CT検査やMRI検査の画像では、血管が詰まって血流が途絶え、でに梗塞が起こっている部分を知ることしかできません。

その手前の血流不足に陥っている部分を見ることができれば、より効果的な治療を行うことが可能です。

そのために有効な検査が、脳血流シンチグラフィー(SPECT一スペクナ)です。

SPECTは、放射性同位元素を用いた物質を体内に注入して、脳の血流の状態を画像としてとらえる方法です。

アルツハイマー病と、脳血管性の認知症の鑑別診断にも用いられていますが、脳の血流が不足している部分を知ることができるため、脳梗塞の予防や早期治療に役立てることができます。

最近では、MRIの灌流強調画像(PWI)という方法によって、血流低下部位を迅速に調べることができるようになり、この検査の標準化と普及が待たれています。

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