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こんな人は脳梗塞に注意

高血圧

高血圧が動脈硬化を促し、脳梗塞の危険因子であることを詳しく、さらにその理由を解説します。

脳梗塞には、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞という3つのタイプがありますが、高血圧は、すべてのタイプに深く関係しています。

血圧とは、血流が血管壁に与える圧力のことです。

心臓が収縮して全身に血液を送り出すときの血圧を「収縮期血圧」といい、心臓が拡張して血液が心臓に戻ってくるときの血圧を「拡張期血圧」といいます。

高血圧になると、強い圧力がつねに血管に加えられ、それが持続すると血管壁が傷つき、やがて血管壁が厚くなり、しなやかさが失われます。

これが動脈硬化です。

細い動脈で動脈硬化が進めば、血管内腔(血液の通り道)が狭くなって、血管が詰まりやすくなります。

これは主にラクナ梗塞の原因となります。

また、傷ついた血管にはコレステロールなどがたまりやすくアテローム(粥腫)ができます。

脳の太い動脈や頸動脈にアテロームができると、アテローム血栓性脳梗塞の原因となります。

心原性脳塞栓症は、心臓内でできた血栓が流れてきて脳の血管で詰まるタイプの脳梗塞です。

高血圧は、心臓内で血栓をつくらせる原因となる心筋梗塞や心房細動といった心臓疾患の危険因子にもなります。

高血圧の診断基準は、下表の通りです。

血圧が高いと脳出血が起こりやすく、血圧が低いと脳梗塞が起こりやすいといまだに誤解している人もいますが、これは明らかな間違いです。

血圧が低いほど、脳梗塞は起こりにくいことが最近の研究では明らかになっています。

血圧が高い人は、食事療法や、降圧薬を服用して、積極的に血圧を下げてください。

高齢者は上の血圧に注意

血圧には、俗に上の血圧である収縮期血圧と、下の血圧である拡張期血圧があります。

収縮期血圧も拡張期血圧も両方とも基準値より高ければ、明らかに高血圧であると判断しやすいのですが、なかには、収縮期血圧は基準値より高いけれど、拡張期血圧は基準値であったり、それ以下ということかあります。

ではこの場合は、どうすればよいかといえば、収縮期血圧を目安にしてください。

最近では、収縮期血圧と、脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)を勇要視する傾向があります。

特に、高齢者では脈圧が大きくなりやすく、拡張期血圧が基準値内でも油断できません。

むしろ、高齢者では動脈硬化が進むと拡張期血圧が下がってくるのです。

したがって、収縮期血圧が基準値を超えていたら、たとえ拡張期血圧が基準値以下でも、治療が必要だと考えてください。

糖尿病

現在、日本の糖尿病の患者さんは、予備軍まで含めると、約740力人といわれます。

糖尿病の人たちは、そうでない人よりも2~3倍も脳梗塞を起こす危険度が高いことがわかっています。

糖尿病は、血液中のブドウ糖が増えすぎた状態が慢性的に持続する病気です。

血糖値は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによってコントロールされていますが、糖尿病になるとインスリンの分泌が減ったり、働きが悪くなって血糖値が高くなります。

血糖値が高い状態が続くと、やがて血管が侵され、脂質の代謝にも影響を及ぼすようになります。

特に糖尿病の人は、「糖尿病性大血管症」といって太い血管の動脈硬化が進みます。

アテローム(粥腫)がたまり、アテローム血栓性脳枕席の危険度が高まるのです。

また、インスリン抵抗性や高インスリン血症があると、細い血管の動脈硬化が促進されやすい。

という特徴もあります。これはラクナ梗塞の危険因子となります。

こうしたリスクは、糖尿病の人だけでなく、境界型と呼ばれる糖尿病予備軍の人もほとんど変わりません。

空腹時の血捨値が110mg/㎗未満、またはブドウ糖負荷試験の2時間値が140mg/㎗未満の正常型以外の人は、食事療法や薬物治療で血糖値を下げてください。

脂質異常症

脂質異常症(高脂血症)は、血液中のコレステロールや中性脂肪が増えすぎる病気です。

コレステロールが特に高くなる高コレステロール血症と、中性脂肪が高い高中性脂肪血症があります。

脳梗塞に単独でより深く関与しているのは、高コレステロール血症です。

血液中に余分なコレステロールが増えすぎると、血管内にたまってアテロームをつくります。

これを粥状硬化といいます。

コレステロールによる粥状硬化は、特に太い血管に起こります。

脳の太い動脈や頸動脈などにアテロームがたまって大きくなり、粥状硬化が進むと血管内腔が狭まったり、アテロームが破裂して血小板が集まり、血栓をつくります。

血栓によって血管が詰まると、アテローム血栓性脳梗塞を発症することになるのです。

さらに、細い動脈の動脈硬化が原因で起こるラクナ梗塞もまた、高コレステロール血症が関与していることがわかってきました。

コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールという2つの種類があります。

LDLとHDLというのは、コレステロールを運搬するリポたんぱくを比重により分類した名前です。

コレステロールや中性脂肪はリポたんぱくと結合することによって、血液に混じることができます。

LDL(低比重リポたんぱく)は肝臓から全身にコレステロールを運ぶ役割があります。

一方、HDL(高比重リポたんぱく)には血液中の余ったコレステロールを回収して肝臓に戻す役割があります。

そして、アテロームとなって血管にたまるのは、LDLコレステロールです。

このことから、LDLコレステロールは悪玉コレステロール、HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれています。

脳視塞の原因には、悪玉のLDLコレステロール値が高いだけでなく、善玉のHDLコレステロール値が低いことや、LDLを含む非HDLとHDLの比率(動脈硬化指数)が高いことも関係していることが明らかになっています。

心臓疾患、特に心房細動のある人

心原性脳塞栓症の原因は、心臓疾患です。

心臓の働きが低下すると心臓内の血流が悪くなり、心臓内に血栓ができやすくなり、これが脳梗塞の原因になります。

脳梗塞の引き金となる心臓疾患にはいくつかありますが、特に注意したいのが心房細動です。

心原性脳塞栓症の3分の2は、心房細動か原因となっています。

心房細動かある人は、そうでない人よりも4~5倍、脳梗塞を起こしやすいといわれています。

心房細動は特に高齢者に多く、75歳以上では8人に1人の割合で発症するというデータもあります。

心房細動は不整脈の一種で、心臓の左心房の動きが不規則になって、脈拍の間隔が乱れる病気です。

心房細動か持続する慢性心房細動と、心房細動か一過性に生じる発作性心房細動かあり、慢性心房細動は心電図検査で発見できますが、発作性心房細動は発作時でないと見つけられません。

脈がおかしいと感じたら、必ず検査を受けましょう。

肥満、メタボリックシンドローム

肥満と脳梗塞の因果関係は、まだ医学的には十分に証明されてはいません。

しかし、肥満によって引き起こされる高血圧、糖尿病、脂質異常症といった病気が脳梗塞の危険因子であることは事実。

つまり、肥満している人は、脳梗塞を起こす危険が十分にあるといってよいでしょう。

最近注目されているメタボリックシンドロームもまた、脳梗塞の重大な危険因子の1つといえます。

メタボリックシンドロームとは、「腹部肥満(内臓脂肪の蓄積)に加えて、脂質異常、高血圧、高血糖のうちの2つ以上をあわせもった状態」のことです。

メタボリックシンドロームでは、内臓脂肪に着目しています。

近年の研究で、内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインと総称される悪玉物質が、高血圧や脂質異常症、糖尿病を招くことがわかってきたからです。

たとえば、内臓脂肪からは血圧を上昇させるアンジオテンシノーゲンや、糖尿病の発症を促すTNF‐αが分泌されたり、多すぎる内臓脂肪が善玉のHDLコレステロールの合成をじゃまするなど、いろいろと悪さをしているのです。

つまり、内臓脂肪の多い人が、高血圧や脂質異常症、糖尿病(高血糖)になるのは時間の問題です。

そしてそれが、脳梗塞を起こす引き金になることを忘れないでください。

加齢、遺伝も大きな要因

脳梗塞の危険因子の多くは、食事や生活習慣のほか、それを原因とする高血圧、脂質異常症、糖尿病などの病気です。

これらは確かに危険ですが、食事や生活習慣を改めながら、薬を用いるなど、積極的に治療をすることによって改善することができます。

つまり、これらの危険囚子は回避可能のものだといえます。

しかし、脳梗塞の危険因子には、どうしても避けることができなものもあります。

加齢や性別、人種、遺伝的な要因がこれにあたります。

まず、加齢ですが、人は誰でも年をとります。

最近では、アンチェイジング(抗加齢)といって、実年齢よりも若々しい心身を保つことを目的とした食事や美容法、医学的な治療なども行われています。

しかしながら、年齢をくい止めることは不可能です。

加齢は、確実に動脈硬化を進めて、高血圧を促し、脳梗塞のリスクを高めます。

性別でいえば、女性よりも男性のほうが脳梗塞を起こしやすいといえます。

脳出血も同様ですくも膜ド出血は、女性に多く見られます。

人種では、日本人は欧米人よりもラクナ梗塞や脳出血を起こしやすいことが明らかになっています。

そして、遺伝的な要因も見逃せません。誤解されやすいのですが、特殊な遺伝病を除いて脳梗塞自体が遺伝することはありません。

しかしながら、親や兄弟に脳梗塞の患者さんがいる場合は、そうでない場合よりもやはり脳梗塞を起こす可能性が高いのは事実です。

その理由は、脳梗塞の危険因子となる高血圧や糖尿病、脂質異常症といった病気は、親から体質を受け継ぎやすいことと、食事や生活習慣も似かよっていることが関係していると考えられるからです。

これらの回避不川能な危険因子をもっている人は、回避可能な危険因子をより厳格に改めることです。

大量飲酒と喫煙

先に述べたように、喫煙は動脈硬化を促進する最悪の習慣です。

家庭内にタバコを吸う人がいると、受動喫煙によって自分が吸わなくてもリスクを高めることになります。

脳梗塞の予防には、まず禁煙することが大前提です。

飲酒については、適量なら問題はありませんが、脳梗塞を起こす人には明らかに飲みすぎが原因となっている人も少なくありません。

飲みすぎは、高血圧を助長し、中性脂肪が増えすぎる原因にもなります。

その結果、動脈硬化が進んで、脳の血管を詰まらせることになります。

適量を守って飲めないのなら、悪習慣といわざるを得ません。

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